革財布のパーツの多さ

革財布の作り方 Vol.1『無数のパーツ』

1. 『無数のパーツ』

鞄を比較すると、大きさの割に革財布・革小物はとても多くのパーツで構成されています。 近年では裏地のつかない、よりカジュアルなデザインの製品も多く登場していますが、洋服で言うとこれらはTシャツなどに近いもので、パーツ数も比較的少なめです。

一方、micでご用意しているアイテムの多くは裏地が付き芯材が入ります。構造は複雑で加工にかかる手間も裏地の無い製品に比べてとても多くなります。先の洋服に例えて言うなら、スーツに近い作り方をしています。

ちいさなボディに数十のパーツ

3つ折りタイプのミドルサイズウォレット 3つ折りタイプのミドルサイズウォレット

例えばこちらのお財布。3つ折りタイプのミドルサイズウォレットですが、いったいどのくらいの数のパーツが使われているでしょうか?

このお財布をパーツに分解してみたのがこちら。

パーツは45個

なんと45個もあります!

上の写真の左側に写っている黒いパーツが製品の表面になる革のパーツ、そして真ん中から右下にかけてのグレーのパーツが裏地です。そして右上の白と薄いグレーのパーツが芯材です。

財布はお金はもちろん、様々なカードやレシートなどの紙類などを入れるために多くのポケットがつくので、パーツの数は当然多くなります。しかし、それとは別な理由でパーツが増えることがあります。

一番大事なことは、「厚みを出さない」

例えばカードポケットの中です。お手持ちの革財布のカードポケットの中を覗いてみてください。

革財布のカードポケットの中

外側からは革しか見えませんが、途中から生地に切り替わっていませんか?このポケットのパーツは、組み立てる前は下の写真のような形になっています。

革と生地を貼り合わせたパーツ

パーツの半分以上が生地です。革の先端は厚みを均等にするために漉いてから生地と貼り合わせています。

なぜこのような面倒なことをしているかというと、「厚みを出さないため」です。

革財布・革小物はパーツ同士の重なり合いが多いため、一つ一つのパーツの少しの厚みが最終的に大きな差になって現れてきます。そして厚みが出てしまうと中に入れられる容量が減ってしまい、財布本来の役目を果たせなくなってしまいます。ですから、厚みを少しでも抑えることは、革財布・革小物を造るうえでとても重要な要素なのです。

革と生地を貼り合わせたパーツの裏側

このグレーの生地の厚みは0.3mm、非常に薄い生地です。革を同じ0.3mmに薄く漉くことはできますが、そうすると革の強度が弱くなり、ミシンをかけたり強い力がかかると簡単に革は破れてしまいます。実は革はその構造上の理由から、ある程度まで薄くしてしまうと、途端に弱くなってしまうのです(豚革やカンガルーなど、薄くてもそこそこの強度を持つ革もあります)。

ですから革を使う場合は、もっと厚みを残さなくてはなりませんが、そうすると今度は組み立てた際に厚みが出て中に入る容量が少なくなってしまいます。

たくさんの抜型

厚みを出さないためにパーツが増える、となんだか変な話のように聞こえますが、少し手間がかかってもきっちりとしまいたいものを入れられるように、ちょっとした違いにも気を配って革財布は仕立てられています。


Vol 1. 完