開発スタッフに聞いたラフィネシリーズが出来るまで、のお話。
micスタッフ 根本
作成:2023年12月26日
更新:2024年01月08日
「かわいすぎない女性らしさ」をシンプルに、丁寧に織り込む。
年の瀬迫る12月下旬、micの女性向けラインナップに新しくラフィネと名づけたお財布たちが加わりました。
ふだん使いできるシンプルさで、キャッシュレスなライフスタイルに合わせて無理なくお財布の中身を整理できそうな、ほどよいミニマル感がポイントのコンパクトウォレットたちです。
今回、お財布作りをメインで担当したのはmicの女性スタッフ、スーさんとあおいちゃん。半年かけてじっくりラフィネの商品企画に取り組むあいだ、2人は偶然にもともに30歳になるタイミングを迎えました。
20代は過ぎ去り30歳に。揺れるお年頃の開発スタッフ2人にラフィネのお財布たちができるまで、を聞きました。
1.かわいいけれどかわいすぎないカラーリング
「昨日30歳になったわたし。もう若くはない?」
少しだけ先に30歳を迎えたスーさんはそのときの気持ちを「30歳に突入した途端、20代後半の頃とは明確に違うという感覚を覚えました。20代後半はまだ若いといっていい。でも30歳は若いといえるのかな?と感じました」と振り返ります。
たとえば今まで着ていた「自分の好きな、かわいい服」。30歳でこの格好はありなのか?と年相応の持ち物について考え始めていました。そのため「自分が身にまとい持ち歩くモノにとても敏感になっていました」とも。
ラフィネには、2人が揺れ動く自分自身と向き合い「30歳の自分が使うなら」と頭を悩ませた細やかなディティールが詰め込まれています。
「無難なピンク。無難ってどんな色?」
「30歳になってから『かわいい』と感じるデザインや色味が変わってきたなと感じます」
そう話す2人、ラフィネでは「かわいいけれどかわいすぎない女性らしさ」を目指して、細やかに革の色や糸の色を考えてバランスを調整していきました。
一番ああでもないこうでもないと頭を悩ませたのがピンク。ピンクといっても「いいな」と感じる色味には微妙なニュアンスがあることに強い引っかかりを感じていました。
ラフィネシリーズの革は、東京都内にある革屋さんで何年も繰り返し作られてきたロングセラーの革。色数も10種類以上、アイボリーからオークベージュ、ブラウン系はニュアンスのある色味が揃っていてその中から吟味しました。
しかしピンクだけはラフィネ用に新しい色をつくってもらうことに。その理由は元からあるピンクだと「元気すぎる」と感じたから。
「オリジナルで作ってもらったペールピンクとその色を見比べたら『ああ』ってなると思います。ピンクの色味を考えていたとき、店先で『この色いいな』と手に取っても『自分が使うとしたら?』と考えて購入しないことってこの年齢になると良くあるなと改めて気づきました」
その気づきをもとに2人が考えたラフィネのピンクは一言で言ってみれば「無難さ」がキーワード。なぜなら30歳になった自分が使ってもおかしくないさりげないピンクにしたかったから。
そこで2人は、ピンクのなかでもベージュがかった色にしようと方向性を決めていきました。ただしベージュがかった、と一言で言ってもその色のレンジは広く、ベージュが強ければ○○シャツのようになってしまうかもしれないし、ピンクに寄せすぎると可愛らしくなりすぎて実際には使えず選ばれないかもしれない。
「この色にしよう」と踏ん切りがつかないままだいぶ時間が経っていました。さすがにもうそろそろ決めなくてはいけないと切羽詰まり始めた頃、メーカー業を営む本社の片隅でやっと見つけた革の切れ端。
革屋さんにこの革を渡して、ちょうどいい無難さを追求して作ってもらったのがこのラフィネのペールピンク。持つ人の肌の色がくすまない柔らかさのある色合いに仕上がりました。
「持ったとき、軽やかさのあるオークベージュに」
飾りのないシンプルなデザインのお財布なので、いつでもきれい目に見えて飽きのこないカラーを、と選んだ色がオークベージュ。
ファーストサンプルが出来上がってきて、ドキドキしながら手に取ったオークベージュの長財布はどうしてか革カットを見たときより暗い色目に見えました。
micの基本的なスタンスは機能性を追求する傍ら表面的なデザインは極力シンプルに設計すること。ラフィネも装飾はつけずに少しでも軽やかな印象にならないかと表にゴールドのブランドロゴを刻印してみるなどさりげなく見える範囲内で模索し続けました。
苦心する中、サンプル制作のサポートをしてくれた年長のスタッフがトンネルを抜けられるアドバイスをくれました。「ステッチの色だけでも雰囲気が変わるよ」と。
試しに小さな革のチップに明るいベージュと暗いチャコールグレーの糸をステッチしてもらい比べてみると一目瞭然。革の色は同じなのにベージュのステッチだと不思議と革色がワントーン明るく見えそうです。
そこで糸の色を変えて再度サンプリングしてみることに。すると財布を手に持ったときのぱっと見の印象が変わり、ちょうど良い軽やかさがあるオークベージュになりました。
2.シンプルだけど女性らしさが見えるデザイン
「どこかぼんやりした雰囲気をシャープな表情に」
出来上がったサンプルに感じたもう1つの違和感。それはギャルソンタイプの長財布を正面から眺めたときに湧き上がりました。
もう1人のスタッフ、あおいちゃんは「なんかもったりしていて残念」と出来上がったサンプルとずっとにらめっこ。ここでもmicの不文律、表面のデザインのシンプルさがネックに感じました。主張しすぎるデザインを求めてはいないけれど、「シュッとした感じが欲しい」。
眺めること数日、フラップのかたちを変更してみようと決心しました。同時に出来上がっていた三つ折り財布のサンプルはほとんど同じ長方形のミニサイズなのに「スッキリした印象」を感じたからです。2つを比べてみたら、フラップのかたちが違っていました。
機能面では現金をあまり使わないキャッシュレスなライフスタイルを想定して、1万円札ギリギリの横幅で作ったギャルソンタイプのコンパクト長財布。使い勝手に合わせて見た目も絶対スッキリさせた方がいい。生産スケジュールギリギリのタイミングで3回目のサンプルにトライすることになりました。
じりじりとした気持ちで待った最終サンプルを一目見てすぐ、諦めなくて良かったと感じました。飾りのないデザインでもフラップのフォルムを変更したことで「シュッとしたように」見えるお財布になりました。
「ゆらゆらと揺れる引き手でさりげない女性らしさを」
「若いから」と自分の好みを追いかけていた20代を卒業し、他の人から見てその年齢らしく見えるのかどうかを以前よりも強く意識するようになっていた2人は、シンプルな中にも女性らしさが感じられるアレンジを、と企画の初期段階から地道に検討し続けました。
最終的に、micのお財布としてそのデザインのコンセプトを超えないギリギリのラインを考えて、大ぶりすぎない、ゴールドが強すぎない細長い引き手をアクセントとしてお財布に添えることに。
手に持ったときに目立ちすぎないささやかな存在感で財布のコンパクトさも際立ちます。
内側のコインルームも小銭をこまめに使ってお財布を軽く出来るよう、引っ張りやすく抓みやすい引き手にしたいと考えて、いくつもあるかたちから、実際に抓んだり引っ張ったりしてみて決めました。少し線の太いしっかりした掴み心地のゴールドの引き手です。
30代の入り口に立つ等身大の自分を見つめて、ラフィネシリーズのディティールを丁寧に煮詰めていった2人。財布の端っこでゆらゆら揺れる引き手の控えめなきらめきに、彼女たちが思い描いた「かわいらしすぎない女性らしさ」が十分に表れたように感じました。
すーさん:
私も絶賛愛用中です!普段ピンクは選ばないのですが、コレなら持てる!という色合いを目指したお陰で違和感なく愛用できています。是非たくさんの方に手に取っていただきたいシリーズです。
あおいちゃん:
実は、私も愛用しています!笑私は三つ折りミニ財布を愛用しているのですが、友人などに「私も欲しい!」と言ってもらえることがすごく嬉しいです。使い勝手、デザイン共に熟考しましたので、皆様の良き相棒になってくれるかと思います。